奥のコソ道

池田ですが、イケイケではないです。イケてない方のイケダです

1人旅に、言葉が通じるからって国内旅行を選んだのに

ボンボヤージュ(良い旅を)!ってね
私も言われたい!って軽い気持ちから
ひとり旅(in 京都)をした。

今回のお宿は、ホテルとか旅館ではなく

他の旅人たちとの共有スペースとかがある
ゲストハウスってやつにしてみた

 

築100年以上の町屋を改装したとこで、寝る場所は個室なんだけど
それ以外、お風呂もトイレも全部共有。
スタッフがいるのは21時までで、それまでにチェックインすれば良くて
あとは、宿泊客だけで自由に過ごす。


一軒家みたいなもんだから
キッチンで自炊するもよし、共有スペースでおしゃべりするもよし。

 

ほら、ひとり旅だし
同じ宿で他の旅人との交流とか、情報交換とか
なんかそれだけで白米3杯いけそうなくらい楽しそうな響きだなぁ、と。

そう思ってのゲストハウス宿泊。

だったんだけど。

 

まさかの宿泊客のほとんどが外国人。
全然、言葉わかんない人ばかり。

 

そーいや、ここは京都で。しかも平日で。
日本人は休みじゃないから宿泊どころじゃないし
外国人に人気の観光スポットだったってことに気付かされて。
そりゃぁ宿泊しますよね、こーゆーとこに。

 


そんな現実を突きつけられながらも
ひたすら共有スペース(リビングみたいなとこ)にいたら

日本の女子がやってきた。

ひとりぽつんといた私のもとに輝く光が。

あぁ神様っているんだーっつって
もうね、ここぞとばかりに話しかけたら


なんと同じ年。そして彼女も一人旅。山田さん。
すっかり意気投合して
ちょっとした連絡先なんかもトレードして
話し込んだ夜23時。


外はすっかり静まって、さてそろそろ寝ますか、って
それぞれの部屋に戻ろうとしたときに

ドンドンドン!って。

宿の玄関をたたく音がして。

あー誰かがカギを忘れて入れないのかなーって
ドアに近づき、開けてあげると
そこにはスーツケースを転がした
ハリー・ポッターの映画あたり出てましたっけ?ってくらいのマルフォイ似の男性が。

えぇ、思いっきり外国人で。

 

んで、マルフォイ、ニコーってしながら
ペラペラペラペラ~って
なんかしゃべってくんの。
もうスピードラーニングもビックリのスピード感。
マジ、困るフォイ。


おーけーおーけー。落ちつこ。


私もなんかしゃべらなきゃ、しゃべらなきゃって
思ってたんだけど
もーね、ひとつも英語が出てこない


喉の水分がどんどん蒸発していくのがわかって
カラッカラ
わーわーどーしよーっつって
声が引き出しの奥の奥にしまわれて、全然出ないし


もー頭のなか真っ白。目は白目。
マルフォイにうっすらとモヤさえかかって見えてくる

 


アベノミクスよりもミクスしている脳内から
やっとの思いで出した言葉が、『こ、コンニチハー』って
思いっきり母国語出しちゃって

そしたら向こうは、『コンバンワー』って返してきてくれて。


そう、今は夜だからそっちのが正解。
外国人の方がよっぽど日本語知ってた。

 

慌てふためいている私をよそに、山田さんが
「なんか、この人、、この宿にチェックインしたいって言っているかも…」って
コソっと言ってきた。

 

ここの宿チェックイン締め切りは21時。
もうできない。

 

だから、ノーチェックイン!っつったら
マルフォイ、血相を変えて
自分のスマホの地図画面を見せながら
魔法でも使うんじゃないかってくらいの
さらにペラペラ呪文言ってきて
もう手に負えないの。
コナンの推理力を出しても言葉が理解できない。

 

もう助けて、新一ぃぃぃ。ってなった瞬間
宿の部屋の奥からニューヨーカーみたいな外人男性が2人きて。
マルフォイのペラペラに重ねるペラペラをしてくれて。

 


どうやら、彼は宿の場所を間違えていたらしくって
ニューヨーカーたちが『あっちだよー』って教えてた

ペラペラ魔法対決の結果、マルフォイが「オーケー」って納得してた。

 

 

みんなでホッとして、グッバイ~っつっていた時に

私、完全に無意識だったんだけど

ぼん・ぼやーじゅっ!(良い旅を)って

ほんとツルっと出た言葉だったんだけど


自分もやっと英語を出せた…ってね
達成感すごかったんだけど


その瞬間、マルフォイも、ニューヨーカーたちも、山田さんも
ぽかーんとしてて、空気もなんだか乾いた気がした

 

なんでかなーって部屋戻って調べたら
英語じゃなくて、フランス語だった。

 

イケてない
池田の日常

奥の細道は細くて細くて

月日は百代の過客にして、行かふ年も又旅人也。

 


松尾芭蕉がね、『月日ってのは、永遠の旅人みたいなもんだよー』って言ってる、奥の細道の冒頭の一文。

 


月日すらも旅人なのに

私なんて仕事とかでウロウロうろたえるただの会社員。

 


私だって旅人気取りたい!

ってことで、旅してきました。

 

そうだ、京都に行こう、と。

 

どうせなら、自分を見直そう、と。
自分探してみようかな、と。

 

京都と言えば、お寺巡りだし
自分を見つめるのに手っ取り早いなーって思ってね、東福寺ってことで『座禅&写経体験コース』みたいなのを予約しまして。

20人くらいいる中、やってきた

 


海老蔵さん似のお坊さんがね、好きな座布団に座ってくださいねーて言ってたから

一列目の端っこに陣取ったわけなのですが
隣にめちゃくちゃ美女が座ってきて、それだけでも緊張がプラスされてるのに

私の後ろにね、もーどっからどー見ても、オカマの男性二人がね、座ってきて
キャッキャッてしてんのね。

 

後ろから感じるオーラ?っつーか
圧が半端ないの。

寺でオカマーズがいることにね
もーね、衝撃的。
この非日常な出来事に
自分の緊張心のキャパシティが振りきっちゃって

 

まるで集中できないまま始まったんだけど

座禅のルールとしては、あぐらの状態で
両手は円を描くように組む仏様のポーズ
目は閉じずに目線を下にする半眼で、鼻で深呼吸をするらしく
邪念が入ったり、眠気がきたら、合掌をするとお坊さんが『ぺしーん!』ってしてくれるってゆー、システムで
要は自己申告制だったの

 


始めの数分は、みんなが探り探りだったのかな、誰も申告しなかったんだけど
一人がぺしーん!されると

我も我もとみんながハエたたきのようにどんどん肩を叩かれてく

 


私はと言うと、会社の人にね『都会に染まってる人は、邪念ありすぎて無になれないんだよ』って言われてたからね
無になれるってとこを証明したかったとこあるし
座禅ツウなところをね、この場で見せたい!みたいな


変な使命感にかられてまして
申告してたまるか!ってね、思ってたんだけど

お寺の庭側に座ってたからかな
耳の後ろを蚊にさされたようで

 

とんでもなく、かゆーてかゆーて
あーもー!掻きむしりたい!ってね、ずっとウズウズしてた

 

しかも後ろのオカマさんが叩かれた瞬間に、漏れた『ヴッ』って声が、完全に男の声で
今、男の部分出したよね?出しましたよね?
って心の中で問いかけちゃって

100%邪念でできてた、私の心。

 


でも、参加者ほとんどが叩かれてるなか
隣の美女が全然申告しないから

 

さーぁ、最後に残るのはどっちだー?って徳光さんあたりのナレーションが付いてきそうな
一騎討ち勝負になってて

耳の後ろすぐにでも掻きたかったけど、ガマンして30分やり遂げた

叩かれるのが醍醐味なのに。

 


終わったあと、叩いてた木の棒を自由に触れてオーケーな時間があったんだけど

叩かれなかった代わりに
せめて触れるチャンス&チャンスだったのに


オカマさんたちが『ヤァダー!これ固ーい!』とか言いながら触ってて
なかなか離さなくって
私も、、それ、、触らせてほしい
って願ったんだけど

 

池田さんは写経の時間です、と別室に連れてかれて
結局、棒には1ミリも触れないまま
アンタッチャブルな座禅だった

 


そして最後にお坊さんから『あなたはだいぶ体勢崩れてたから、邪念がありましたよね?』って言われました

 

 

バレてたー!

 


イケてない
池田の日常

 

初めて1人で旅とかしてみる

台風も近づき、雨もしたたる9月なわけですが

ようやく私も夏休み(シルバーウィーク)という名の銀メダルを手にしまして

 

社会人になって早9年。
9連休とか、、初めてで。
どう時間を過ごしていいか、わからない。
連休の取り扱い説明書があったら買う勢いだったんだけど

 

あー、そうだ

ちょっとした旅行をしてみようかな、と。

 

敬老の日もあったんでね、祖父の家(新潟)に寄りながら、京都でもいってみようと。

初めてのひとり旅。
お泊まり予定の6日分の荷物を準備した。

 

ほんとは、京都旅行用の荷物をね、新潟の祖父の家に宅急便で送ろうとしたんだけど

段ボールに詰めたまま
出すの忘れてたから

もーいーや!って。
段ボールのまま新幹線で行こう!って。

 

 

たしかにね、普通のカバンより持ちにくいっていう部分はあった。
持つってゆーか、抱える、というのが正しい感じで、
持ちごたえは抜群の一品だった。

 

 

でも、池旦那にね、東京駅まで車で送ってもらえることになってたし

そのあと新幹線さえ乗っちゃえばこっちのもんだーって。

 

駅に着き、リュックと段ボール1箱を下ろした

 

気をつけるんだよー、なんて池旦那に言われて

もう気持ちは浮かれまくっちゃってて

 

頭の中、段ボールのことと、これからやってくるバケーションのことばかりになってて

思いっきり、携帯電話の存在を車の中に忘れてて。

 

なんてゆーのかな。
完全に点呼を怠ってた。

 

あ!ってなった瞬間には
車が5メートルくらい先に出発してて

 

段ボール持って髪の毛振り乱しながら
必死に追いかけたんだけど全然気付かれなくて

 

よく、ドラマで愛する人の車を道路で追いかけて、、転んじゃって、、なんてゆー
これから、なんらかのラブが始まることを彷彿とさせるシーンとかあるけど

 

 

あれね、美しく描きすぎ。

 

 

実際ね、窮地に立たされると

 

もう、『待てぇぇぇ!まぁぁてぇぇぇぇ!!』っつって
これが逃げるヘンゼルとグレーテルを追いかける魔女か
ってくらいの勢いは出てたんじゃないかな。

 

 

手には段ボール抱えてるし

 

なんのラブストーリーも生まれない

荒い息しか生まれない

 

運動不足の足も、ウサイン・ボルトには急になれないし

もうだめかもって諦めかけたとき

 

私の横を走ってたタクシーが

あの車、追いかけて戻ってきてもらうから!って言ってくれて

池旦那(の車)を無事連れてきてくれた

 

 

大都会、東京。

 

 

そんな都会の
ど真ん中で、悲痛な叫びを聞いてくれる心優しい人がいたんだ、と。

山田孝之よりも、私の『助けてください!』が通用した、と。

命がけの再会をし、手にした携帯の温もりを感じて
余韻に浸ってると

 

知らない車が横に止まってきて
窓を開けながら『ねーちゃん、さっきいい走りっぷりだったよ!』って

おやゆび突き立てて、グー!てされた

 

そこで、これまでの自分の行動の恥ずかしさが、ちょっぴり見え隠れした気がした

 

 

 

気を取り直して
リュックを背負い、手には段ボールを抱えて新幹線乗ろうとしたんだけど

 

 

あのー、すいません

と、後ろから声がした。

今度はなんだ!と振り向けば、そこには背の高い警備員。

 

息を切らし、先ほど降り乱れたボサボサの髪の毛もプラスされてたのかな

どうやら不審人物と思われたようで。

段ボールの中身を問いただされました。

 

初めてのひとり旅。

初めての職務質問

私はテロリストではないし
段ボールの中身は衣類です、つって

ボソッと言いすぎて余計怪しまれる

2度も衣類ですって言い放った

ほんと、出だしからハプニングで、新幹線では、ふて寝しました

 

イケてない
池田の日常

夏に残ったもの

外から聞こえる音が
蝉の声から鈴虫の音色へ
まるでグラデーションがかかってるようにバトンタッチされてる9月

嗚呼、夏が終わる
終わるのだ

 

夏休み、花火、海、昆虫採集、絵日記、浴衣、、、思えば、夏らしいことなんて
明日でいいや、明日すればいいやって
得意の先延ばしにしてた


結果、何もしてない
夏だろうとなんだろうとお構いなしの普通の日々

そして、アレも先延ばしにしてた

そう、アレ。

ダイエット。ってやつ。

 


この夏は、会社で「池田さん、それピエロみたいだね」って言われながらも

トレンド?を意識して、ガウチョパンツだとか、スカンツとかいうの穿いて必死に体型隠して

さんざん見て見ぬふりをしてきてたんだけど
鏡で自分を見つめるという一種の拷問を受けたときに

あれ?どこのムーミンかなって。
まさにハンプティーダンプティーを描いた体型。

 

これが自分であり、現実なのだ、とスピードラーニングのように言い聞かせるのに必死の毎日。

なんかね、夏は痩せやすいらしいよーって噂で聞いたから存じ上げてた

夏は黙ってても痩せるんじゃなかったの?
ヒルナンデスあたりでそんなこと言ってなかった?

 

今の私、酸素だけでも高カロリーに感じるんだけど。
かなりのデブナンデス。

思えば、痩せるチャンスはたくさんあったんだよね

明日から~明日から~を呪文のように
心のなかで毎日唱えるだけ唱えて
夏だし、痩せやすいしっつって
ラーメンとか揚げ物をがっつがっつ食べてた

結果、きれいに体重推移だけが一直線に右肩上がった

悟空がスーパーサイヤ人ブルーとかに進化を遂げてる間に

私の太もももだいぶ進化を遂げてて
骨が脂肪によってラッピングされちゃってて
かなりぐるぐるに包まれてて
ちょっとした芯が残ったアルデンテみたいな足になってるし

それと、あたしのお腹、境界線どこにあったっけ……。 くびれとかもどっかに落としてきたみたいで

くびれのやつ、かるーくグランドライン越えちゃって肥えちゃって

生活感のない部屋を心がけてるのに、おもいっきり生活感モロ出しなお腹

生活感ここにあり!って感じで。

 

あとね、おしり。
ジャンプすれば縦揺れ
フラフープすれば横揺れ
もうね、直下型地震きちゃってるくらい揺れるの

震源地ここか!って。

んで、地震によって地割れがおきてさ、真っ二つになるおしり。
別れた左右がね、重力によって、一目散。
右のおしりも左のおしりも
下に、下にと競ってる

とにかくね、ちっとも痩せなかった

そんな夏がもうすぐ終わる

涼しさと紅葉を引き連れた秋がもう近所の角まで来てる

秋、、追い打ちをかけるように駆け巡る、食欲のアレ。

押し寄せる食欲に勝てる自信は、ない

 

もーね
おたく、どこの相撲部屋なの?って
いつ聞かれてもおかしくない

出会い頭の力士に勝負挑まれても仕方がない

のこった、のこった、っつって

この夏、残ったのは
日焼けの跡と
圧塗りされた脂肪だけ。

 


イケてない
池田の日常

風のように走れるようになりたい

遠い異国でのスポーツ祭典が終わりまして

戦士たちのドラマにね

特に、福原愛ちゃん(27)の涙にね、もらい泣きをしそうになりながら見てました

あー、愛ちゃんも27かーって。

私、27のとき何してたかなーっつって。

 

 

前回、富士登山の話を書きましたが
私には20代で達成したかったことがもうひとつあって


フルマラソン完走だったんだけど

実は27のときに、東京マラソンに出まして。

 

オリンピック出場の切符をね、手に入れようと。は、思ってなかったんだけど

 

なんてゆーか、「東京マラソン出場します!」って声高らかに、なんなら少し裏返っちゃうくらいのハイトーンボイスで宣言するんだけど

 

誰に言っても、「お前、、走れんの?」って聞かれてさ

もう、軽く「むかしむかしあるところに~」のフレーズよりも聞き飽きたってくらいの、走れんの?コールを浴びまして。

 


そこまで言われちゃぁ
負けられない戦いがそこにあるってゆーか

完走してやろうと。見返してやらうと。

 

東京マラソンは、お江戸の町をエッサホイサするんだけど
名所をまわれるだけではなく
制限時間が他の大会よりもユルいから初心者でも完走できるのね

その完走率びっくりの97%! てことでね、半年前から準備しまして。

 

まずは「マンガで解説!初心者でも完走できる本」を読破して。

 

 

3か月前からでもできる!マラソン!ってゆーサイトを見まして。


1か月前は真冬だし、外出れないし、実家で紅白とか見ちゃって。

サブちゃんが祭りだ!祭りだ!って言ってるのを横目に

 

あれよあれよという間に
気がついたら大会のスタートの30分前で。

 

サブちゃんよりもお祭り騒ぎの参加者だらけのスタート地点に
もののけの森へ足を踏み入れた迷子みたいに立ってた。

 

 

まさかのNOトレーニングで
これがホントの脳トレ(NOトレ)か!って。

 

 

んで、隣にいた人に、「早歩きでも完走できっから!」って励まされながらスタートしてた

 

 

42キロ早歩きかぁー。
そんなもん、「ちょっとそこまで」くらいのお出かけ感でしょ!って思ってたんだけど

 

あのメロスだって友人のために走り続けられたし

 

私もね、完走したら、プロポーズのひとつやふたつ

してやろうと、、本気で。

 

20キロくらいまでは勝算あり!って感じで

東京タワーとか写メ撮りながらの、おのぼりさんだったんだけど

 

 

25キロでガクンとペースダウンしまして。
頭の中ではゴールテープをね、何度もくぐってるのに
足が全くついていかなくて。

 

下半身だけ別物になってた。
いけっ!そこだ!って脳が指示だしてんのに、全然スマッシュが決まらないの

 

沿道歩いてる池旦那(当時は結婚前。応援で来てくれた)の方が早いってゆーね。

 

 

ついに35キロの一歩手前で
ゴゴゴゴッと関門が閉じられ
リタイアという名の
泥メダル を手に入れなくてはならなくなったことに

悔しさと、足の痛さで大泣きしてた

 

 そして、プロポーズもできず

婚期をまた逃したことへの敗北感。

 


完走率97%。
私は3%の野党だった。

 

 

走れんの?コールの与党たちの、「ほーらね」という顔がチラついて、悔しいから
ここは完走したことにしとこう!
と思ったのもつかの間

 

 

その日の夜に友達からのメールで
「あんたのリタイアの泣き顔がテレビに出てた」
と。
さらに「徳光和夫かと思った」と。

 

 

福原愛ちゃん(27)の涙は国境越えて
日本国民を感動させてたけど

私(27)の涙は、友達のネタにされただけだった

 


イケてない

 

池田の日常

 

 

 

そして今年も徳光和夫東京マラソンエントリーしました

当たるといいな

母にとってのフェス

暑いあつい東京砂漠
コンクリートジャングルを
身体中の水分を蒸発させながら
へろへろと歩く


私の心のオアシスはどこだ?
と、思っていたときに
母からの着信があった。

 

 

私の両親は
私が小学生のときにそれぞれの道を進むことを選択して


私自身もそのときに
どちらと暮らすかという選択肢を突きつけられ

父の元に残ったから

母とは、たまに会ったり、電話したりするんだけどね

 


なんてゆーか、ゴーイングマイウェイって言葉がよく似合う人なんだ、母は。

世界はきっとこの人を中心に回ってるんだろうなってくらいの自己表現の数々

 


会うたびに
「あんた太った?お母さんの方が細いんだけど」
とか
人のことを勝手に自分の土俵にあげて、のこったのこったしてくる
まぁ、力士体型は認めますが。

 

 

ある日、母に会いに行ったとき
「あんたと買い物するために、お金貯めてたんだよ!」ってドヤ顔。

たまにしか会わない娘に
いろいろ買ってあげたいという親心を出してくる

んで、洋服を買おうっつって
ショッピングしてたんだけど

お店の人がね、こちらはいかがですかーって、勧めてくるものを
母は、一旦、鏡の前で自分の体に当ててから
私のところにあててくる

こちらは、こちらは、ってゆー店員のリズムにのりながら
一旦自分に当てて、私にもってくる。
よくわからないキャッチアンドリリース

まぁ、あれだよね。
娘に着せるものがどんなものなのか、真剣に選んでくれてるってことなんだよね。

そう思っていたんですが。

私が「これ、かわいいー」ってなった1着のワンピースがありまして。

それを聞いた母が、店員さんに「試着させてください」と。

その服のハンガーを外しながら店員さんが
優しいお母さまですねー、って。

母も褒められてまんざらでもなさそうな表情で。

店員さんが試着室に案内してくれたんだけど

私が入ろうとした隙に
母が横からスッッて入った
すごく自然にスッて。
一足先に試着室というステージに立つ母。

ドギマギした私をよそに
「お母さん、試着してみるから、ちょっと待ってて」
と、
店員から服を受けとる母。

店員も一瞬ギョッとしたあとに「あ…お母さまがご試着なんですね…」と察した表情をする

バタン、という扉の音と共に
閉め出される私と店員。


お見合いでいう「あとは若いお二人で」のあとかな、これは。
と思わせるような気まずい空気が二人の間に流れ
店員さんと目が合うたびに乾いた笑顔になる

そんな、にらめっこが3分くらい続いたころだろうか、壁の向こうから私の名前を呼ぶ声が。

試着室のドアを開けると
ワンピースを身にまとった母が
ちょっと!早く入って!と、無理やり中に招いてくる

ファスナーが!閉まらないから閉めて!
と。

とりあえず、部屋のドアだけ閉めて

半開きになった背中のファスナーも閉めようとしたんだけど

 

もーね、閉まんないの
びくともしない

よく「背中は語る」とかいうけど
50数年の歴史がそこに刻まれてるっつーか
着々と地層的なのか年輪的なのか積み上げられた、ぜい肉が語ってんの

無理~って。語りすぎてんの。
軽く白旗が上がってる。

店内からは『お客様、いかがですかー』の急かす声がするし

ちょっと待ってくださいねー、と店員さんに言いながら
母は「お願い」って言わんばかりの
目配せを私にしてくる

私に課せられたのは、とんだミッションインポッシブル。

 


とにかくこの事態をどーにかせねばと
母と共同作業によりファスナーをあげようと
二人でヒッヒッフーしてた

もう、海ガメあたり産卵するんじゃないかってくらいの
ヒッヒッフーにより
ようやくファスナーが終着地点につくころには、かなり汗だくになっていた

満足そうに試着室から出た母
いろんなところが、3Dメガネいらないくらいの臨場感
肩とか腕とか、それってガンダム?みたいな
アムロもどっか行っちゃうくらいのリアリティー

それでも店員さんから、お似合いですーみたいなことを言われて
次の瞬間には袋に包まれたワンピース

その後のワンピースの行方といったら
母に1~2回ほど着てもらい

次に私が母のもとへ遊びに行った際
「これねー、なんか違ってた」ってゆー
一言を添えられて手渡された

グランドライン越えて、大航海を経て私の手元にあります、ワンピース。

 

 

そんな母から着信がありまして。

夏はなにしてんのー?と

そんな電話だったんだけど

私が「夏の予定はー、友達と音楽の野外フェスに行くんだよ!」
ってね、お知らせしたの

そしたら
「なにそれー?お母さんも野外フェチになりたーい」っつって。
何度フェスだっつっても
フェチでリターンされるから

もう、この際
野外フェチでいーや

ってなった、そんな夏の出来事です

 

 

イケてない
池田の日常

山の日について

昨日は人生で初めての山の日

 

なんのためのお休みなのか

山に登ろうキャンペーンなのか

 

 

そんな誘導をされたとしても

引きこもりが登れる山と言えば
部屋のゴミの山くらいで。

 

 


あ、20代のうちに私には達成させたいことが2つあったんだけど

1つが、フルマラソン完走
もうひとつが、富士山に登ること。

 

 

んでね、そのうちの1つを叶えるべく
当時付き合って間もない池旦那を連れて
夏の富士山にいったんだけどね


富士山っつったら、日本が誇るナンバーワン

そんなね、『ナンバーワンの上に立てる』なんて思っただけで
血が騒ぐっつーの?血の巡りが良くなっちゃって

前の日ドキドキして眠れなかった

 

 

池旦那とは『暗いうちから出発すっから』って話をしてたし
寝れないくらいがちょうどいっかーって思ってたんだけど

なんか気付いたら普通に朝日が出てまして。


あれ、ドキドキして寝れなーいなんて思いながら目をつぶったのまでは覚えてるんだけど
そっから時空間移動していたんだろうね、ぶっちぎりで朝だった。
とんだうっかりさん。

 

 

そんな出遅れ感と
なけなしの荷物を詰め込みながら
テッペン目指して登ったんだけど


天気もいいし
雲よりも高い位置にいるってのは、さすが日本一だな、と

頂上にたどり着いた時の達成感は
言葉じゃ言い表せないものだったんだけどね

 

朝出発していたもんで、頂上の時点ですでに夕方で。

どうやら富士登山って、夕方に登って山小屋で休んで
朝日を頂上から見て、そこから下山するってのが
正解だったらしいんだけど

私たち、まったく逆のことをしていたみたいで。

 

 

なんていうか、人の流れに逆らっているなーってのは
うすうす気づいてはいたんだけど

夕方から下山するっていう人がほとんどゼロに近くて。

 

 

でもね、その日が日曜日で。

自動的に次の日は月曜、つまりは仕事なわけで
どーしても下山しなくてはいけない理由がそこにあったから
周りの登山客の反対も押し切って下山したんだけど。

 

 

すぐに日は落ちて
だんだん雲行きも怪しくなって、気温もぐんぐん下がる

 

 

 

雨、強風、ヒョウ、カミナリ
全部が一気に「集合~!」っていいながら
ナンバーワンマウンテンにやってきて。
フジサンったら、よくばっちゃってさ、フルコースをディナーに頼んじゃったの?っつって。

 

デザートは、ピンポン玉くらいの氷の粒がミサイルのごとく降ってきて。

富士山は、ほとんど木がない山なので氷の玉がゴロゴロと転がりおちるの
甲子園のこぼれ球よりも若干多い氷の玉。

 

カミナリもね、ピカって光ってから音がなる…っていうものだと思ってたけど
それ、ここで発電する?鬼ちゃん来ちゃった?ってくらい、イナズマがピシャーンって直下なの

 

まさに自然災害のオンパレード。ちょっとしたインディ・ジョーンズの世界観。

 

 


明かりはゼロ。人もゼロ。

 


正直、今歩いている道が正しいのかどうかもわからない状態で
とにかく地上にどうにかつくように歩きまくった

 

 

しばらくしたら明かりが見えて、山小屋かな、と思って
やっとの思いでたどりついたんだけど
誰もいない公衆トイレで。

 

 

服の水分を絞りながら、救助の電話をしようと思ったんだけど
池旦那の携帯は、雨により水没しててお亡くなりになっているし

 

唯一つながった私の携帯で救助を呼んでも
天候が回復するまでは助けに行けないといわれるし

 

脳裏に次の日の新聞記事が浮かんだよね
富士登山で2名が遭難というタイトルの記事が。

 

池旦那の後日談だけど、本当に死を覚悟した、と思ったらしいし。

 

だけど、救いの神は突然やってきて

雨も落ち着き
凍り付きそうだった髪の毛が少しずつ溶けたころに
2人組の男性登山客(結構プロ)がこちらに向かってきた

 

 

命からがら力を振り絞って
助けの声を出し
どうにかその人たちに連れられて下山ができたんだけど。

 

その人たちと帰り道、仲良く話ながらきたんだけど。


戦場を共にした戦友のように思っていたんだけど。

 

ゴールについたとたん
山をなめんな!!って怒られました、はい。
この日一番のカミナリはここに落ちたか、と。

 

 

そんな富士登山のことを思い出しながら
ゴミの山に目を向けた、山の日。

 

 

家の中のゴミも「なめんな!」と言わんばかりの量だった

 

 

イケてない

池田の日常