奥のコソ道

池田ですが、イケイケではないです。イケてない方のイケダです

1人旅に、言葉が通じるからって国内旅行を選んだのに

ボンボヤージュ(良い旅を)!ってね
私も言われたい!って軽い気持ちから
ひとり旅(in 京都)をした。

今回のお宿は、ホテルとか旅館ではなく

他の旅人たちとの共有スペースとかがある
ゲストハウスってやつにしてみた

 

築100年以上の町屋を改装したとこで、寝る場所は個室なんだけど
それ以外、お風呂もトイレも全部共有。
スタッフがいるのは21時までで、それまでにチェックインすれば良くて
あとは、宿泊客だけで自由に過ごす。


一軒家みたいなもんだから
キッチンで自炊するもよし、共有スペースでおしゃべりするもよし。

 

ほら、ひとり旅だし
同じ宿で他の旅人との交流とか、情報交換とか
なんかそれだけで白米3杯いけそうなくらい楽しそうな響きだなぁ、と。

そう思ってのゲストハウス宿泊。

だったんだけど。

 

まさかの宿泊客のほとんどが外国人。
全然、言葉わかんない人ばかり。

 

そーいや、ここは京都で。しかも平日で。
日本人は休みじゃないから宿泊どころじゃないし
外国人に人気の観光スポットだったってことに気付かされて。
そりゃぁ宿泊しますよね、こーゆーとこに。

 


そんな現実を突きつけられながらも
ひたすら共有スペース(リビングみたいなとこ)にいたら

日本の女子がやってきた。

ひとりぽつんといた私のもとに輝く光が。

あぁ神様っているんだーっつって
もうね、ここぞとばかりに話しかけたら


なんと同じ年。そして彼女も一人旅。山田さん。
すっかり意気投合して
ちょっとした連絡先なんかもトレードして
話し込んだ夜23時。


外はすっかり静まって、さてそろそろ寝ますか、って
それぞれの部屋に戻ろうとしたときに

ドンドンドン!って。

宿の玄関をたたく音がして。

あー誰かがカギを忘れて入れないのかなーって
ドアに近づき、開けてあげると
そこにはスーツケースを転がした
ハリー・ポッターの映画あたり出てましたっけ?ってくらいのマルフォイ似の男性が。

えぇ、思いっきり外国人で。

 

んで、マルフォイ、ニコーってしながら
ペラペラペラペラ~って
なんかしゃべってくんの。
もうスピードラーニングもビックリのスピード感。
マジ、困るフォイ。


おーけーおーけー。落ちつこ。


私もなんかしゃべらなきゃ、しゃべらなきゃって
思ってたんだけど
もーね、ひとつも英語が出てこない


喉の水分がどんどん蒸発していくのがわかって
カラッカラ
わーわーどーしよーっつって
声が引き出しの奥の奥にしまわれて、全然出ないし


もー頭のなか真っ白。目は白目。
マルフォイにうっすらとモヤさえかかって見えてくる

 


アベノミクスよりもミクスしている脳内から
やっとの思いで出した言葉が、『こ、コンニチハー』って
思いっきり母国語出しちゃって

そしたら向こうは、『コンバンワー』って返してきてくれて。


そう、今は夜だからそっちのが正解。
外国人の方がよっぽど日本語知ってた。

 

慌てふためいている私をよそに、山田さんが
「なんか、この人、、この宿にチェックインしたいって言っているかも…」って
コソっと言ってきた。

 

ここの宿チェックイン締め切りは21時。
もうできない。

 

だから、ノーチェックイン!っつったら
マルフォイ、血相を変えて
自分のスマホの地図画面を見せながら
魔法でも使うんじゃないかってくらいの
さらにペラペラ呪文言ってきて
もう手に負えないの。
コナンの推理力を出しても言葉が理解できない。

 

もう助けて、新一ぃぃぃ。ってなった瞬間
宿の部屋の奥からニューヨーカーみたいな外人男性が2人きて。
マルフォイのペラペラに重ねるペラペラをしてくれて。

 


どうやら、彼は宿の場所を間違えていたらしくって
ニューヨーカーたちが『あっちだよー』って教えてた

ペラペラ魔法対決の結果、マルフォイが「オーケー」って納得してた。

 

 

みんなでホッとして、グッバイ~っつっていた時に

私、完全に無意識だったんだけど

ぼん・ぼやーじゅっ!(良い旅を)って

ほんとツルっと出た言葉だったんだけど


自分もやっと英語を出せた…ってね
達成感すごかったんだけど


その瞬間、マルフォイも、ニューヨーカーたちも、山田さんも
ぽかーんとしてて、空気もなんだか乾いた気がした

 

なんでかなーって部屋戻って調べたら
英語じゃなくて、フランス語だった。

 

イケてない
池田の日常